出会い系サイトに関する法律で「出会い系サイト規正法」というものがあるのをご存知でしょうか?
聞いたことがある、という方もどのような法律か、その内容までは知らない人が多いのではないでしょうか。
出会い系サイト規正法は出会い系の運営者のみならず利用者にも関係があり、特にこれから出会い系を利用したいと考えている方は知っておくべき法律です。
このページでは、出会い系サイト規制法をポイントを抑え説明したいと思います。
出会い系サイト規正法とは?
出会い系サイト規制法の正式名称は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」といい、平成15年に制定、平成20年に改正された比較的新しい法律です。
法律が制定される前まではなんら規制もない出会い系業界でしたが、スタービーチなどの出会い系サイトの人気が爆発する一方で、援助交際などの問題が多発しました。この問題にかんがみ制定されたのが、出会い系サイト規制法です。
目的
警察庁「なくそう、子供の性被害。」のサイトによると、出会い系サイト規制法の目的は以下のように書かれています。
この法律は、出会い系サイトの利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的としています。
出典:なくそう、子供の性被害。
"児童"とは18才未満の少年少女のことを指します。つまりは出会い系サイト規制法は、子供たちを出会い系サイトが原因となるトラブルから守る法律となります。
そしてこの法律は、運営者、利用者、その他(例えば、システム提供者など)など出会い系サイトに関わるすべての人を対象としています。
届出制の導入
それまでは届出なしで始められた出会い系ですが、出会い系サイト規制法が制定されてからは警察へインターネット異性紹介事業の届出が必要となりました。
参考出会い系業者は届出必須!インターネット異性紹介事業とは?
児童でないことの確認方法の導入
平成21年2月1日から施行された「児童でないことの確認方法」の導入は、身分証などによるユーザーの年齢確認の義務など、より出会い系業者の取り締まりを強化しました。
罰則
警視庁サイバー犯罪対策のサイトによると、出会い系サイト規制法の罰則は以下のように書かれています。
インターネット異性紹介事業の利用に関するもの
対 象 罰 則 インターネット異性紹介事業を利用して禁止誘引行為(性交等又は対償を伴わないものを除く。)をした者 100万円以下の罰金 インターネット異性紹介事業者に関するもの
対 象 罰 則 届出をしないでインターネット異性紹介事業を行った者 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 30万円以下の罰金 変更・廃止の届出をしなかった者 30万円以下の罰金 変更・廃止の届出書・添付書類に虚偽の記載をして提出した者 30万円以下の罰金 名義貸しをした者 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 都道府県公安委員会による指示に違反した者 6月以下の懲役又は100万円以下の罰金 都道府県公安委員会による事業停止命令に違反した者 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを併科 都道府県公安委員会による事業廃止命令に違反した者 1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はこれらを併科 都道府県公安委員会による報告・資料提出の求めに応じなかった者 30万円以下の罰金 報告・資料提出の求めに対し、虚偽の報告をし、又は虚偽の資料を提出した者 30万円以下の罰金 登録誘引情報提供機関に関するもの
対 象 罰 則 登録誘引情報提供機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者で誘引情報提供業務に関して知り得た秘密を漏らしたもの 20万円以下の過料 登録誘引情報提供機関でない者で、誘引情報提供業務を行うに際し、登録を受けている旨の表示又はこれと紛らわしい表示をしたもの 10万円以下の過料 出典:警察庁:あぶない!出会い系サイト
ここまで読んで頂いた方はもうお解りかと思いますが、出会い系サイト規制法は児童を守るための法律であって、サクラを取り締まる法律ではないのです。
これは上記の出会い系サイト規制法の罰則に、サクラに関する内容が盛り込まれていないことからも分かる事実です。
したがって、インターネット異性紹介事業の届出がしてあるからといって、サクラがいない出会い系というわけではないので注意が必要です。(ただ、届出をしていない出会い系は山ほどあるので、そういった意味では届出済みの出会い系は安心と言えば安心です・・・)
参考出会い系のサクラは犯罪か?
サクラというと、新規オープンのレストランが行列など話題作りのために使うサクラと混同されることがよくありますが、この場合は誰も損害を受けるわけではないので犯罪とは言えません。
それに対して、出会い系のサクラは間違いなく犯罪です。実際、サクラを使った出会い系業者や、サクラの出会い系システムを提供した業者が詐欺罪で逮捕されています。
しかしながら、サクラがいる出会い系でも一般女性と出会える仕組みがあるため、出会い系のサクラを詐欺として立証するのは難しいというのが現実です。
出会い系サイト規正法の問題点
元出会い系業者である筆者の視点で述べさせて頂きますが、出会い系サイト規制法の問題点は認知度の低さにあると考えています。
それは利用者のみならず、出会い系業者に対しても言えることです。認知度が低いがゆえ、曖昧な情報を元に出会い系サイトやチャットアプリを始める出会い系業者が後を絶ちません。
曖昧な情報とは、例えば「チャットアプリはインターネット異性紹介事業の届出は必要ないらしいよ」などといった噂レベルの情報も含まれ、結果としてトラブルの原因となるケースが多々あります。
様々な機能をもった個性的な出会い系が増えてきた中で、出会い系サイト規制法に該当するサービスの線引きはとても難しくなっていることは事実ですが、認知度を高め、悪質なサイトやアプリが生まれないよう警察には取り締まりを強化してもらいたいものです。